フランクフルトが背伸びした 空豆ぴょこんと飛び出した。 鳩がせっせと水を飲む 名前が転んで怪我をした。 山女魚が感じた山羊の歌 夢はきちんと手を振った がっせっせ がっせっせ 崖から生まれる夜の実に 私は色を着けていく (謎夜 3457夜目より抜粋) さよならがいなくなった。 何か始めると誰もやめられない。 苦手なことも本当に嫌なことも。 さよならはただいまと一緒に帰ってきた。 私はさよならにありがとうを渡す。 やめるものにもありがとうを渡す。 この夜の私ありがとう。 さよならのないことありがとう。 (謎夜 6811夜目より抜粋) 蔦がある 私はそれと戯れる 蔦はこっちを向くと笑ってる あっちを向くと泣いている 私は蔦の形を辿ってく。 蔦が泣いても笑っても。 蔦、全部触ったら、私は箱に入るんだ。 箱の中 蔦を思って 少し眠るね 蔦 蔦 つたつた (謎夜 1229夜目より抜粋) 15年前、僕は22歳だった。
15年前は20年前のことを思い出して話せるなんて思わなかった。 過去のことを話して面白いとも思わなかったし、 過去のことを話すという選択肢すらほとんどの場合思いつかなかった。 37歳になった今は20年前のことを思い出して話すことができる。 その時代がどうだったかを思い出すことができる。 僕が意思をもって生きてきた時間として、 肌で感じた時代の実感として。 10年以上ぶりにあう懐かしい友人との温まるコミュニュケーションの1つとして。 過去のことを話して、面白いと思うようになった。 20年後、まだ幸福にも生きていたら、 40年前のことを話すことができる。 今から20年分の自分が生きた時代の実感を乗せて。 今話す20年前と20年後に話す40年前はだからちょっと違うものになると思う。 生きるとはそういうことだと思った。 20年後に40年前のことを話すとき、 今よりだいぶ記憶がおぼろげなのだろうか。 それとも、今よりむしろ鮮明に、 過去の記憶を話すことが出来るのだろうか。 それは20年後にしかわからないけれど、 これから先の20年も毎日と毎日毎日戯れて、 意味のない下らない馬鹿話をしながら、 日常が色あせないといいなんてことすら思わないくらい、 今と同じくらい色んなことを考えていたい。 やりたいことが減らない毎日が続けばいい 20年後に40年前の話しを話すとき、 どんな下らない話しをしても、まじめな話をしても内容よりも 人は時間を重ねる ということが伝われば面白いな。 言葉として知っているけどなかなか体験できないことを、 実感してもらえる瞬間があれば面白いな。 人は時間を重ねるんだ そういう生き物なんだ。 重ねるというのはそうかこういうことか。 未来で話す誰かにそう感じて貰えたら とても僕は嬉しい。 それを伝えるために話すことは無いけど。 僕にこれから刻まれる皺にきちんと時間の祝福がありますように。 人は死ぬまで生きている。僕ももちろん。 その面白さが僕は大好きです。 今日街で偶然出会った、60年前のことでも話せそうな2人の人間が、 「大根100円だよ」 「もう重いからもてないよ」 とゆっくりと足をひきずりカートを押しながら 笑いあっていたのを見て僕は確かに時間を具体的に目撃した。 その感覚の鮮烈さを今日は誰かに話したかった。 時間が歩いて話して笑う。それを目撃できた今日の自画像 スプレーを吹きかけると銀河が慌てて飛び出した。 こんにちは 銀河は挨拶をしました 私にスプレーをかけて銀河にする 銀河になった私夜に居てさっきの銀河にこんにちわ 夜の中に銀河が2つ。銀河の中に夜が8つ 夜を抱える銀河と銀河が抱える夜はだんだん1つの星になる (謎夜 4315夜目より抜粋) ある人の話。
私たちの住んでる場所には巨人が住んでいます。 みたことはありません。 でも巨人が投げた石が飛んでくるんです。 大きな石が。 だから巨人が住んでいることがわかるんです。 たまに人が死んだりします。 家も壊れます。 しょっちゅうではないです。 変ですか? でも、死なない人間なんて居ない。 そっちに住んでも何かで人は死ぬでしょう。 私の住んでる場所には巨人が住んでいます。 たまに石が飛んできて人が死ぬ。 それだけのことで、私がここから居なくなる理由になんてなりません 月の服を創る
私は月の服を創る 決められた手順に沿って 決められない気持ちで 風は少し、光は控えめ、 音はなだらか 身体はふにゃふにゃで。 私は月の服を作るとき笑っていた 最後に涙を一つ落として乾かす。 乾くと空に服が昇ってそれを月が着る (謎夜5992夜目より抜粋) |
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1月 2021
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