血は流されないといけない。 ただその時人は死ななかった。 直接それで死ぬまでに至る人はいなかった。 そのとき空は限界で。ひび割れだらけで。 空の向こうに置いてきた、穢れや、不安や、絶望的な破壊衝動が いつ出てきてもおかしくなくて。 そうしたら、もう血は流されないといけない。 一人一人が一定の量の血を出して、空を塗りなおさないといけない。 全員の血が必要です。 塗りなおした空は最初はずっと不穏な錆色をしていたけれど、 そのうち、馴染んで、きちんと昼は青く、夜は黒く、 曇りはくすんで見えるようになった。もうでこぼこもひび割れもない。 空をみたとき、この言葉が身体の中に落ちてきた 血は流されないといけない 空は血が乾いたものだったことがそのとき分かった。 悪いことじゃない。血は誰にでも流れている。 血は流されないといけない。ただ、そのことで、誰かが死ぬことはない。 血の色は安定しない。だから毎日空の色は違う。 私も空を保つためならいつだって血を流す。それで死ぬことも無い。 これを空に返します。 信じる方が簡単だ。絞首台で男はそういった
それは考えてないってことと違うのか? 本当にお前が決めたのか? あなたを信じる。 見たくない考えたくない じゃないのならいいけどな。 疑うことがいいんじゃない。信じることがいいんじゃない。 感情に流されず、あるいは流されたその先で、 自分で決めたかどうかだよ。 この中に俺が本当に「したかどうか」分かるやつはいるのか? あの証拠もあの証言も本当に本物だったのか?本物だったら俺は死んでいいのか?それをお前も決めたんだよな。 俺は階段を上った。ここにいる景色をみせてやりたい。 そういって男は死んだ。 随分前のことである。 私は今階段を上っているのだろう。毎日を使って。 絞首台に続くのか天国に続くのかその時が来るまで分からない。 イカの涙で公園が流された。
私はお酒を口に含む イカの涙で灯台が流された。 私はお酒を飲み干した。 公園は流された先で譜面になって 灯台は大きな亀になった。 私はイカの背に乗り舞を舞う。 イイだけ泣くイカ 泣き止むまで今日は二人。 (謎夜 5672夜目より抜粋) 転がってきた鉄球に触った。
私、丸くなった。 鉄球として眠る。 まわる。 最後つるんていくとき楽しい。 と思ったら元に戻った。 鉄球がこっちを見ていた。 色んな大きさの鉄球が、 ニヤニヤしながらこっちを見ていた。 照れくさい。私はヒト。 ここは鉄球の夜。 (謎夜 1404夜目より抜粋) ある夜のこと。
全ての桜の花が集って 染み1つない 織った気配も何もない ただ一枚の布になった。 桜の粋(すい)。 布をかぶる。 桜は私。 最後まで咲く。 布越しの木も土も空も人も夜も繚乱。 (謎夜 10060夜目より抜粋) |
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1月 2021
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