水が浮遊している 大きな水の塊が。
街一つ分くらいの 本当に 大きな水の塊が 浮遊している。 手を大きく広げたみたいな形で ぎゅっと一つに固まったり 薄く伸びて大きくなったり 時には丸くなったりと 徐々に 形を変えて 水が 空に 浮遊 している。 浮遊する水の群れ 浮遊する水の群れ 大抵の人間にとってこんなに大きい水の浮遊は始めてのこと。 大きな連なり 水の空 街を覆って 水の空 単体の振りをして水は群れで動く たくさんの水の群れ。浮遊する水の群れ。 沈んだお寺を見るように 不思議な気持ちで水を見る。 水は群れて のびのびと 浮遊している うっとりと 水の速度で ゆっくりと。 浮遊する水の群れ。連なり重なりゆっくりと。 群れを通る太陽が乱反射して地上に水の形を馴染ませる。 眩しい水の中にいる。街は水の中にある。 たくさんの水の群れ。 地上を水の影に染めながら。 浮遊した水たちは街を通り過ぎていく。 浮かんだ滅びた文明の、お城か遺跡を見るように 不思議な気持ちで 水が浮遊しているのを見ている。 ここが水の底なのか。 水洩れ日で、形の決まらない波紋で、きらきらする街で、 僕は子供のころ近くにあった沼のことを思いだした。 この街で起こった初めての皆既水食の話。 皆既水食で 水に覆われた 街では 次の日 不思議なことが起こる。 この街に訪れた初めての皆既水食の日。 水食がなぜ起こるのかはまだ分かっていない。
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2/17/2018 12:29:29 pm
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