kuze takaomi
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詩

このまま

2/8/2019

 

その家ではたくさんの湯気がのぼっていた

リビングでは特にたくさんの湯気が。

たくさんの湯気はそれぞれリズムとスピードが違う

私は黒い服を着た女の人が湯気といるときその家で目を覚ました。

湯気を従えるでもなく、飼いならすでもなく
でもその人がその湯気があることを許すから湯気はたくさんそこにある。
それは起きてすぐに分かった。

私が起きてもその人は特に何か反応をするわけじゃなく、淡々と
湯気に直接は関係のない作業をしている。

それが湯気たちのリズムとスピードを少し楽しいものにしていた。

湯気たちははっきりと言わないけど、この場所が好きみたいだ。

不思議と結露はなくかすかなレモングラスの匂い。
湯気たちで部屋の輪郭は少しだけはっきりとしない
湯気たちでたくさんの層があるのに一つの層にしか見えない
少し空気の質が違うきちんとした一つの空間が不思議だ。

ここと女の人のいるすぐそこは全然場所のように感じるけれど
湯気があるから必ず同じ場所なんだな。

まだぼんやりとした頭でそんなことを感じながら
たくさんの湯気を見るともなしに見ていると
だんだんそれがボレロだと分かった。

その瞬間女の人はこちらを見ておはようと言って
僕にしかわからないと思うかすかな感情を出した。
湯気が奏でるボレロは楽しさと妙なおかしさを増す。

湯気でここはあたたかい。湯気は少し恋。
その家で私はこのまま

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    詩

    描いた詩を載せていきます。過去のものも載せていきます。
    ここの詩は変奏したり描きなおしたりします。そのたびにUPします。
    ​全てが一旦完成であり、下書きです。
    時間とともに同じ詩が移り変わる姿もお見せしたく、詩に読了はないように、詩作に終わりはないと考えています。同じ詩でも時間が流れたら形は変わる。変わらないものもある。と思っています。

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