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その時の話し​

北の空が赤く染まるとき、四十男がこうべを垂れる

11/24/2019

 
今日もですかね。
 
 
 

僕は自分がやってない違う世界の話を聞くのが好きなので、僕も自分の世界の話を話そうと思います。
舞台に興味ない方にもちょっと覗いてほしいとも思いますし。

今は確かに触れる距離にあるのに、もうすぐこの世界のどこにもなくなってしまう舞台の話。
 
 

漫画やアニメ、映画に比べてとても小規模の人数にしか語り掛けられない、拡散が容易なこの時代にとても拡散しにくいコンテンツの話を。

 
 

もうたくさんお伝えしているのでご存知の方も多いかもしれませんが、今月僕は、千歳船橋、APOCシアターにて上演中の
「北の空が赤く染まるとき、四十男がこうべを垂れる」という作品に「演出助手」と「作品補佐」という役割で参加しています。11月2日から30日まで。ほぼまるまる1か月です。

 
 
踊る熊谷拓明カンパニーという僕が出演させていただいている、山田玲司のヤングサンデーにも一度出演した熊ちゃんこと、熊谷拓明の主宰団体の作品です。
 
 
 
今回は、彼が生まれて「40」年・踊って「25」年を記念して制作されているメモリアルな公演です。

 
 
なので、休演日を除いた「25」日間で、「40」公演を行います。
 
 
今もう、32公演終わりました。
 
 
一人芝居でこの回数をこなすというのはちょっとなかなかありません。
 
 
そして、演出が、ここまで毎日、現場に張り付くということもあまりないことだと思います。
 
 
 
演出はロングランの場合、毎日は現場に居ないのが常です。
 
 

僕は興味があるのです。
 
 
40公演でこの公演がどのように変化していくか。

 
熊谷拓明という男がなんなのか。
 
 
僕は僕でこの40公演を生き物のように変化していく舞台の様子を克明に体に刻みたい。
 
 
そして、日々、僕が感じたことを熊ちゃんを通して、反映させたい。そんなことが可能なのかな?代弁してもらうつもりはありませんが、でも、僕が感じたこの40公演と熊ちゃんが感じている40公演にどのような齟齬が生まれるかそれとも生まれないか。
 
 
実際にやってみないとわからないから、張り付くことにしたのです。

 
32かいやってみて、感じることは舞台って本当になんだろう。
 
この時代に本当に向いているし、向いてないしということです。 
  

演者も生身の人間ですから、日によって全然違うわけです。

 
一人芝居ですから、全部ひとりでやってます。
 
 
だから特に顕著に毎回ちがう。ボタン一つでなんでも家にモノが届く時代。
 
家に居ながら過去のコンテンツを自由に観れて退屈しない時代、にこんな不安定なものをやっていることはちょっと、いや、だいぶ変だと思います。

 

 
でもだからこそこれは面白いなぁとも思います。
  
  
 
熊谷を少し知っている方からすると以外でしょうが、
 
彼は認めませんがとても繊細な人間です。
 
 
 
客席の様子によってリアルに演技が変わります。
 
 
開始5分で退屈そうなお客様を見つけてショックを受けて
いつも噛まないとこでちょっと噛んだりします。
 
 
それもいいなぁと思います。
 
 
それくらいで今回の作品は揺るがないし、そのちいさな揺らぎがたった一度のその回のかけがえのない味になったりするのです。 

 

 

 
 
同じ作品見ていても違う作品を見ているということ。
なんでも共有できる時代なのに、共有できない時間。
 
 
家に居ながら過去のコンテンツを自由に観れて退屈しない時代にこんな不安定なものをやっていて浮き彫りになるのは、ボタン一つでなんでも届く時代にこんなことをやっていて浮き彫りになるのは、どんなに何が変わっても人間が生きている限り、
「身体」という現実からは逃れられないということ。
 
 
誰にでも身体があるということ。

  
 
みんなに身体がある。人の数だけ身体がある。

物語を簡単にお伝えすると
「6年前から野外で踊るのを禁じられた街でその法律を知らずに
25年間自分ちの庭で踊り続けていたのが見つかって捕まった男の顛末」です。
 
 
 

また別の側面から誤解を恐れずに僕の言葉で言うと
「踊ることってなんだろう?と問い続けた彼の25年の私小説・そして現在時点の彼の踊りに対しての答えの物語」
でもあります。
 
 

僕の役割、演出助手・作品補佐って何をやっているかわかりづらいと思うのでざっくりと説明を。

普通、演出助手というのは結構雑用な役割が多く、
お芝居によっては時代考証が必要になってくるのでそういう調べ物をしたり、演出が決めた役者の立ち位置とか必要な小道具を把握して、照明や音楽、舞台美術などの各セクションと
連絡を取り合ったり、台本のコピーなんかをしたりなんですが、今回の公演は熊谷くんの一人芝居。一人ですから、主演です。
 
 

一人で75分間踊ったり話したり、踊りながら話したりします。
 
 

そうすると、演技をしている間、自分のことを客観的に観られないので、そこを観る人間が必要になってくる。
それが僕です。
 
 
一般的な助手の役割を踏み越えて一般的にはだいぶ演出の領域に寄った感覚で普段に近い感じで仕事させてもらってます。
 
 

舞台の演出というのは簡単に言うと、その本をどのようなアプローチで現実に落とし込んでいくかの作業です。

 
 
演出が違うと同じ本でも喜劇になったり、悲劇になったり、全然違うものになります。

演出・脚本は熊谷なので、僕は彼の演出の意図を聞いて、自分の意見もいい、ブレストして、それを理解して解釈した上で、
 
 

どう動いたら二人で話した見せたいものに見えるのかを
 
 
歩き方から話し方、テンポや音楽のタイミングや大きさ、小道具の持ち方から服の着方、踊り方や照明の明るさまで舞台上で起こるすべてのことに演出の意図(やりたいこと)を反映させていく。

 
 
これが今回の演出助手の仕事になります。

(ただ。音楽や照明・舞台美術に関しては僕がどうこう何かいうのが野暮なすごい方々なので、今回は凄いなぁこんなことができるんだ!って感心してるだけでした。) 
 
 
 
作品補佐は、彼が書きたいと思ったテーマや作品世界に対して、このシーンをつけたそう、このセリフは削ろう、
いや、ここのセリフはこうじゃないんじゃないか?このシーンは最後の方にもってこようなどなど、
編集のようなお仕事でした。初めてやりました。

脚本上・演出上の相棒という自分の一言で作品のクオリティや内容自体がが変わってしまう非常に嬉しい位置に居るという感じです。

 
 

全部が自分勝手に演出できるわけではないがかなり自分の意見が通るし、熊谷の意図も自分のフィルターを通して舞台に反映させるので、
良くも悪くも全体的に自分の色が出てしまう。
彼の作品の方向性を僕が決めてしまうことになる。とても怖い位置でもあります。

日常生活において一人の人間と付き合うとき、基本的には頭の中で考えていること全部をわかろうとする方は少ないと思います。

 
 

そんなことしなくてもなんとなくで付き合えるしなんとなく楽しめるからです。
 
 

分かろうとしても分からないし、分かろうとしたらすれ違うことも多いですし。
 
 

でも、演出をするとなるとそうはいきません。
自分の中で理解できないものを演出はできません。

 
 
最低でも理解できないこと理解できた、や、言語化できないけど、感情や感覚としては分かるくらいはいかないと。
 

理解したと感じたうえでの直感ならいいのですが、理解したとも感じてないのに勝手な直感で作品を進めていくわけにはいかないです。
 
 
熊谷の頭の中を覗き見て、彼の頭の中にある世界がどのようにしたら色んな人に伝わるかを脚本・演出の両面から一緒につくっていく作業ができることはとても楽しい時間でありました。
まだ終わったわけではありませんが、素直にそう思いました。
 
 
まだでも、あと8回あります。
最終日以外チケットまだあります。
 
 
 
やはり、苦労して創った作品です。少しでも多くの方に見てもらいたい。
 
 
 
宣伝はしてますが、うまく広がる方法は分かりません。
 
 
出来ることをしてますが、出来ないことはできません。
 
 
ここまで読んでくれたあなたなら、興味を持ってくれているということだと思います。
 
 
興味がないと途中で読むのをやめる文章を描いたつもりです。
 
 
来てください。
 
 
詳細や予約はこちら。
odokuma.com
 
 
もしくはもう僕に直接連絡を。


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    久世孝臣

    詩人・演出家。
    過去の作品の記録を書いていきます。

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