たくさんボタンのついた小箱があった。 北のお礼、火の暮らし、お菓子の時計、 ボタンに夜の名前がついている。 ボタンを押すね。押すね。押すね。 風が通る。夜がずれてきた。 (謎夜 1201夜目より抜粋) 手紙を出すと 私は何になりたいのかを忘れる それまでの私、手紙の中に 受け取った人の中に入れ 入れ 入って動け。 それからの私、ずっと身体の中に。潜れ 潜れ。 潜って動け (謎夜7668夜目より抜粋) twitterで、お題を募集して、謎夜を描いてみました。
自分ではテーマにしない、お題にしないものばかりをいただけて、考えることが出きて楽しかったです。 いつかここでも募集してみよーっと。 良かったらもとのお題も載せますので、読んでくださいな。 貰ったお題を謎夜に ・お題1:不自然な君が好き 謎夜 三連符 静かに沈んだ 夜に橋がかかったら 私は耳をそばだてる 橋を渡ります 橋を渡れます (謎夜 8626夜目より抜粋) ・お題2:ゲボ吐く 謎夜 つらら 抜粋した6つの夜を42個のつららにした 私はずっと上を見ている 6つの夜が42個の声になって 上を見てる私を取り囲む (謎夜 8298夜目より抜粋) ・お題3:歯がない 謎夜 予習 わたしはポッケに音を入れて わたしはズックに色を入れて わたしは夜に入れられて (謎夜 8252夜目より抜粋) ・お題4:清水ペロタ 謎夜 穴 私は穴の前に立っている (謎夜 43夜目より抜粋) ・お題5:福山雅治 謎夜 頼もう 繭 繭 塗 囲 囲 木兎 声 は とてもいい (謎夜 2980夜目より抜粋) ・お題6:壁丼(かべどん) 謎夜 バッピ すごい速さだった ナ は 泣いた ツ は ジッと見て 後に記した 「バッピは速い。みんながびっくりした」と。 (謎夜 1165夜目より抜粋) ・お題7:昨日の残りのカレー 謎夜 七海 何かが剥がれていくのだよ いつも後から 一つの海は焚くとそう答える 粒が馴染んだよ。 いつもそうじゃないから 六つの海が反射的にそう言った (謎夜 859夜目より抜粋) ・お題8:メダカ 謎夜 社会 この夜にはスーツを着たメダカが折り目正しく点在している 私が動くとメダカたちは一斉に動く この場所からは見えないメダカも全員 私とこの夜にいる全てのメダカの位置と エネルギーが信頼できる場所に無きゃいけないんだ さて、この後私は何をしたか? (謎夜 2614夜目より抜粋) ・お題9:春の匂い 謎夜 着いたよ 待ち合わせをした と思ったら待ちぼうけ 待ち合わせと思ったら 待ちぼうけ ぼけー。 (謎夜 8576夜目より抜粋) ・お題10:月と砂時計 謎夜 塔 その塔に月が咲きました 私は 塔の下を 廻りました 何度も何度も廻りました その塔に月が咲くからか 星がたくさん落ちてきました 私は塔を上りました。 一番上まで上って空を歩いて 空の周りを廻りました あなたが廻ってくれるから 私たち降れるのよ 身体の中に声が響きました。 (謎夜4400夜目より抜粋) ・お題11:落ちていた猫のヒゲ 謎夜 こんなふうにね 落ちていた猫の髭を拾った 付ける 私猫、わたしネコ、私・猫 猫が見る夜をわたし見るよ 私は私の夜を撒く 誰か 私の夜をみて こんなふうにね (謎夜 8046夜目より抜粋) ・お題12:ドライフラワーの夕暮れ 謎夜 しれしれ はりはり ほれほれ まれまれ カケロ ひすひす しよしよ るひるひ ハネロ (謎夜 6051夜目より抜粋) ・お題13:水槽 謎夜 袖 何も入っていない水槽に 声を入れた 水槽は話ができるようになった 声が入ってる水槽に季節を入れた 水槽は時間を手に入れた 水槽の中に 本を入れて 服を入れて 色も歌も星も食べ物も入れて 水槽は知識とか色々を手に入れた。 私、水槽の中に入った 水槽の袖口で 水槽とはじめて 目があって 水槽 と遊んで 水槽の外から水がみているから 水槽とこっちにおいでと手招きをした (謎夜 503夜目より抜粋) ・お題14:人のいない夜に降る雨、あたたかい雨(2人のお題を足して作りました。) 謎夜 整えた 人のいない夜 雨は 絵を描いている あたたかい カタチ 冷たい 温度 人のいない夜 雨は 夜を彫っている あたたかい カタチ 知らない 温度 (謎夜 9028夜目より抜粋) ・お題15:アナハヤタカとサハラナワカ 謎夜 古いものを触る 古いものを触る 文字通り触って でもわからないからもっと触る 埋めたり 焼いたり 撫でたり 一緒に暮らしたり (謎夜7826夜目より抜粋) ・お題16:過積載な化石な犀 謎夜 辞めてみる 辞めてみた 話すのやめてみた 考えるのもやめて 覚えるのも忘れるのも辞めてみた 全部 流した 流して でも 捨ててない そしたら 夜とこういう仲になるのかと私が笑った わたしは 私は 続けてる (謎夜 1181夜目より抜粋) ・お題17:サラダ記念日fuck you 謎夜 文が来る 落ちてきたよ。落ちてきた。 私のそばに落ちてきた 私は文を避けていく 落ちてくる文を避け 隠れて たまにかじってる (謎夜 1581夜目より抜粋) お題18:君はあのころバンギャだった 謎夜 鍵 夜の声のする方に わたしは 着いていく 夜がしたことに わたしは 着いていく 強い日も弱い日もいい日も悪い日も それが夜である限り 私は 間違えないように この夜に 鍵をかけた (謎夜 5866夜目より抜粋) 三途のほとりに居座って お前が来るまで 待っている そのとき は きれいな服も 美味しいものも 何もない ただ 三途のほとりに居座ってお前が来るのを待っている 笑いながら 泣きながら お前はどんな顔してくるだろう お前をどんな顔してみるだろう 三途のほとりに 居座って お前が来るまで 待っている 知識とか知恵の中には、個人の能力に関係なく、言語化できないものがある。
それは身体で覚えるしかない職人の技とかじゃなくて。 誰もが一回はその入り口に立ったことが在るはずのものなんだ。 全員の人生を生きてないけど、多分。 体調・予感・状況など、自分の意識がざわざわとざわめいて、 自分の意識の感覚がいつもと違う場所に居るときに、それの中に居たり、それが隣にあったりするんだ。 そして、それの中にいる間はそれは言語化する必要性さえ感じない。 その時間が終わってもそれを忘れないように、伝えるために言語化しようなんて思わない。ただ、大事なことなんだよ。 言語に拠らない知識や知恵があって、それは自分を大きく変えたりする。それは常にあるんだ。 見逃しそうな些細な予感の形で表れて過ぎ去っていってしまう。 良くものを見て、あるということだけ信じて、身体をあけておいてほしい。 僕の詩人としての役割は、知識や知恵の中には言語にはできないものがあるというのを言い続けることだけなんだ。 世界は言語だけで出来てない。世界は言葉よりちょっと広いんだ。 その時が来たら、この言葉を覚えていたら「あーこのことか。そういえば昔もこの感覚あったな」と思う。 絶対に人生に、少なからず大きくそれを体験できるときが複数回来ている。 その時が来ないとその前の時のことは思い返せないし、その状態を維持し続けることはおすすめできない。 そんなことはできないし、しようとしたら壊れてしまうから。 言葉の外を経験できる機会を楽しみにしててほしい。 このことを言わないとときょう、強く思った。 |
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1月 2021
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