人と人がこんにちわした時、僕はそこに本棚が二つあるということにしている。
その人が今まで読んだ本が全て並んでいる本棚。 2つの本棚が似ていても似ていなくても本棚同士が挨拶してる感じがとても楽しい。 いくら趣味が似ていようが「生まれてから今までに読んだ本の全部が同じだ」という人間はいないだろう。 本棚同士の交流の多くは言葉を使った会話という方法でなされる。 意識はしてなくても、今まで読んだ身体の中にある本たちが何かの影響をその人の身体に与える。身体は言葉。出てくる言葉は身体そのもの。 僕の本棚にあなたの本棚にある本を並べて 僕の本棚にある本をあなたの本棚の空いてる段に忍ばせる。 読んだことのない本が他人と接して自分の本棚に収まっていく。 僕とあなたの本。あなたと誰かの本。僕と誰かとあなたの本。人は本。 何人も集まれば本棚がたくさん。世界は移動する図書館。 誰かの本棚に入った、僕と会うことで置かれた本が、その誰かがほかの誰かに会うことで違う誰かの本棚にも収まって。 あるとき自分の本が自分の元に帰ってくることもある。 誰かの手に渡った僕のことが描かれている、でももう僕のことだけが描かれているわけではない僕の良く知る知らない本。 そうやってたくさんの本が身体に所蔵されていく。人の数だけ生まれる本。 誰かと交わることで新しく生まれた似ているけど違う本。 本棚同士が出会い、沢山の知らない言葉が生まれて、 たくさんの本がある世界で、僕は今日も言葉を描く。 この言葉は昨日までどこにも無かった。たくさんの本棚との交流で生まれた本棚でもあり本でもある僕のこの言葉。 図書館の蔵書は減ることを知らない。 コメントの受け付けは終了しました。
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1月 2021
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